解説
猫のがん発見検査方法を実用化へ
猫のがんの早期発見ができる検査を、大橋文人・大阪府立大学教授(獣医外科学)と動物の医療検査業、株式会社日本ペットライフ(大阪府箕面市)が開発し、5月には実用化すると発表した。
検査方法は血液中の腫瘍マーカーを調べる方法。腫瘍マーカーとは、腫瘍が作り出す特殊な物質のうち、体液中(主として血液中)で測定できるもので、人医学では癌スクリーニングや診断、治療経過のモニタリングに用いられている。 日本ペットライフ社では人間用の腫瘍マーカーであるTSGF-V(Tumor Supplied Group of Factors)を小動物に応用し、大阪府立大の協力を得て治験検証を行い実用化に成功した。犬ではすでに実用化がされていたが、犬と猫では血液型の種類や基準値が若干異なるため、200症例あまりの猫で調査を行い、今回実用化にふみきった。 TSGF検査試薬はアメリカ・カナダ・イギリスの専門家及び大橋教授と中国の専門家と共同研究によって開発され、現在の中国では、トップクラスの腫瘍マーカーとして使用されている。
特徴としては
@1mm大以下の多種の初期がんを同時に感度86%、特異性97%という高い陽性率で検出できる。
A静脈血1〜2mlの検体でよい。
B検査は短時間で行える(即日検査)
C他の腫瘍マーカーや各種映像検査や病理検査よりも少なくとも半年から1年以上早く、全てのがんを検出する能力を有していることが証明されている。
DTSGFは現時点では30種類もの悪性腫瘍の検査測定が可能であることが判明している。
などがある。
TSGF検査は腫瘍の種類、発症部位などを特定することは出来ないが、少量の血液を採取するだけで悪性腫瘍の発症を確認することができ、発症した腫瘍が良性なのか悪性なのかの判断補助として、あるいは手術や加療・治療などの成果の確認および転移や再発の確認などにも用いることができる。 今までの小動物における腫瘍の診断は、血液検査、画像を用いた検査、身体所見などを総合的に勘案して獣医師が行うものであり、今回の腫瘍マーカーはその診断をさらに確定するものとなるであろう。
猫における腫瘍は、発症例の多い順にリンパ肉腫、白血病、皮膚の扁平上皮ガンと乳腺癌であり、その約80%が悪性腫瘍であることが大きな特徴であることから、以前より早期発見が望まれていた。 小動物臨床では1994年に日本獣医がん研究会が発足されてから、飼い主のニーズに答える形でペットの癌医療は飛躍的に進歩をしているが、今回のがん検査法は今後の獣医療をさらに大きく変えてしまうような影響を及ぼす可能性を秘めていると言える。


