【特集コラム②】ペットの熱中症について

2018/07/31

熱中症は一昔前までは炎天下で長時間過ごすことによって発症するとされてきましたが、近年の日本の夏のような天候だと、室内でも曇りの日でも夜間でも熱中症になる危険性があります。今年は特に気温と湿度が高いので、体温が上昇しすぎて体温調整機能がうまく働かなくなり、人よりも熱中症にかかりやすいペットはあっという間に死に至る症例が多く聞かれます。

こんな時は熱中症になりやすい!

①閉め切った車内や室内でペットを留守番させる
日陰でもサンシェードをしていても、真夏の車内や室内はエアコンをかけていても油断できません。日向の駐車場でエアコンが止まってしまった場合、あっという間に車内は50度以上になるそうです。ですから、たとえエアコンをかけていても、状態によっては熱中症になることがあります。

②海やキャンプなどのレジャー
炎天下ではしゃいでいると体の不調に気付かず、あっという間に体温が40度近くになってしまうケースがあります。

③夏のお散歩
日向では空気よりも先に地面が熱せられ、たとえば気温が30度でも地面の近くは輻射熱で50度ちかくになっていることがあります。ですから、地表の温度がまだ高いときに外に連れ出すと、地熱から熱中症になるばかりでなく肉球を火傷してしまうこともあります。

④夏のトリミング
夏に限らず、トリミングではペットも興奮しやすく、お湯やドライヤーで体温も上昇するため熱中症になることがあります。ドライヤーの温度や当て方には十分注意し、特に以下の“熱中症になりやすいペット”は様子をみながら行いましょう。


■熱中症になりやすいペット

・幼犬や高齢犬
体温調節の機能が不安定であり、少しでも高温にさらしてしまうと、健康な成犬と比較してすぐに熱中症を発症します。

・パグやフレンチブルドッグなどの短頭種
熱気が直接体内にはいりやすい体の構造をしているので、熱中症になりやすい傾向があります。

・肥満気味のペット
皮下脂肪が多いペットは体内に熱がこもりやすく、なかなか体温を下げることができません。

・毛量の多いペット
柴犬やポメラニアンなど下毛が多い犬種も熱しやすく冷めにくいため注意が必要です。

・持病をもっているペット
特に呼吸器や循環器に疾患のある子は要注意です。

熱中症の症状

〈初期〉
パンティング:ハアハアと激しい息使いで舌を長く出し、よだれが大量にでます。
粘膜の充血:目が充血したり、耳の内側や口の粘膜の赤みが強くなります。
体温上昇:体を触ると熱く感じます。

〈中期〉
体温のさらなる上昇:40度以上の状態が続きます。42度を超えると、体のタンパク質が熱変性するため、危険な状態です。
嘔吐下痢:体の脱水がさらに進行してしまいます。

〈末期〉
脱水による血液濃縮、循環不全:血の巡りが悪くなるため、チアノーゼ、血液凝固異常(DIC)、意識障害、肝・腎障害、けいれんなどの神経症状をおこし、非常に危険な状態となります。

一刻も早く病院へ!

熱中症の進行は非常に早く、しかも命に係わる病気です。脱水によって血液が濃くなると血管内に血栓ができやすい状態になり、脳や心臓、腎臓の機能が低下したり、神経症状がでることもありますが、これらの症状は熱中症を治しても後遺症としてずっと残ってしまうこともあります。
熱中症を疑ったらすぐに医療機関に連絡を取る事が大切です。


■熱中症の応急手当
熱中症は一刻もはやい手当てが必要となります。動物病院に連絡を取りつつ、少しでも早く体温を下げる処置を行うことが大切です。初期であれば風通しの良い涼しい場所に連れて行って体全体に水をかけましょう。体全体が熱くなっているようなときは、水風呂に全身を漬けるのも良い方法ですが、手身近なところにバスタブがなければ、ペット全体を大きなバスタオルのようなものでくるんで、そこに水をかけ流してもよいでしょう。食品保冷剤のようなものをわきの下や股のところに当てて血液の温度を直接下げるのも効果的です。
ペットの意識があり、吐き気がなければ、スポーツドリンクを薄くしたものを少しずつ飲ませて脱水を改善する事も良いでしょう。


■まとめ
今年の夏は特に熱中症の症例が多いと思いますが、ペットの熱中症は人が十分に気を付けていれば防げる病気です。ペットは人よりも暑さが苦手であることを十分理解したうえで、ペットが元気でいられる夏の過ごし方を考えていきましょう。


相模大野プリモ動物病院
院長  白畑 壮

臨床獣医師が監修したメディカル品質のホームケア製品 パラソルヘルスケア

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