【特集コラム④】ペットと同行避難について ~ペットとの避難場所~

2018/08/21

いま日本では、自然災害が多発しています。
発災時のメディアでは、必ずと言っていいほど被災したペットの話題が取り上げられるようになってきました。これはペットがかけがえのない家族として認識され、その命に対して多くの人が関心を持つ社会になったからだと言えます。

しかし災害現場では人命が最優先されるべき状況でもあります。かけがえのない家族として社会に認められたペットですが、災害時にどのようにして彼らを守り、従来の家族としての生活を取り戻すことが出来るのでしょう。これまでの多くの自然災害の現場から、飼い主が行っておくべきことが認識され、『人とペットの防災』の取り組みが始まっています。

ペット同行避難とは

定義としては『発災時に、ペットも一緒に緊急避難場所等まで避難すること』です。『同伴避難』という書き方をしている場合もありますが、決して『避難先でペットと同室での生活を送れる』事ではありません。ペットを置いて避難した場合、飼い主が安心して避難生活を送れない、誰かにペットの捜索や救助、飼養管理を依頼しなくてはならないなど、人命救助や災害復旧の活動に支障を及ぼしてしまうため、飼い主の責任として行うべき行動です。

《避難場所について》
災害時に避難するべき先は災害の種類にもよりますが、概ね2つに分けて覚えておきましょう。
避難場所:災害を逃れるため一時的に逃げる場所、公園などの広い場所を指します。
地域の地図を見ると、広域避難場所・一時避難場所などの表記がされています。災害時には行政職員などがこの場所から災害情報の提供を行います。まずはここに避難し状況の確認を行い、次の避難行動につなげましょう。

避難所:災害によって家屋が壊れる、二次被害の恐れがあるなどの場合、一定期間の避難生活を行う場所です。学校や公共施設など、大人数が過ごせる強固な施設が指定されている場合が多いです。被災した方は地域などの区別なく利用できますが、避難所の運営はそこで生活する方たちが主体的に行う事となっています。

《避難所でのペットの管理》
先述のとおり、避難所の運営はそこで避難生活する方たちが自主的に行う事となっています。ペットの受入れ含め、生活のルールや施設での役割など避難所の運営方針は、施設の管理責任者と生活者でつくる自治会によって決定されます。避難所は多くの方が利用する施設です。その全員がペットを好きな方ばかりではありません。体調を壊されている方、動物アレルギーを持った方なども利用していますので、ペット飼養に関しては十分な配慮が必要となります。

《防災の基本、自助・共助・公助》
災害時の対策を行う上で、最も重視されているのが自助:自らの力で自分を守る事です。
災害時にはまず自分が無事に生き残ることが重要です。自分が無事でなければ他の誰をも助けることが出来ないからです。そして家族を安全な場所まで誘導し、生活の立て直し(復旧・復興)が始まります。
発災時からの時間の経過とともに 共助:近隣の方たちの助け合い支援。公助:行政など公による支援。と支援の幅は広がります。大規模災害時、けが人などの命を救ったのは、近隣住民による共助によるものが圧倒的に多くなっています。共助も自助があってのことですので、自分を守ることは、家族やその他の命を救う意味でも重要です。

生活地域のリスクを知るハザードマップ

ハザードマップは、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものです。予測される災害の発生地点、被害の拡大範囲や被害程度、さらに避難経路、避難場所などの情報が地図上に図示されています。災害対策基本法に基づき、市町村では地域防災計画の一環として調査・作成しています。地域の役所で手に入れることが出来ますので、地域の災害リスクを確認してみましょう。

まとめ

災害時を想定し、何を準備し対策を行うか、これは自らの責任で実装する必要があります。
防災は災害の種類、季節、時間帯によって避難場所や必要となるものが違ってきます。また自然災害は予測しきれない事も事実です。防災に絶対確実な方法はありませんが、まずは出来ることから、地域の災害リスクを確認し、被害が大きいと判断されるものから対策を始めてみましょう。


株式会社ジーパウ 代表取締役社長/動物福祉活動家/防災士
成田 司

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