【特集コラム⑥】ペットと同行避難について ~ペットとの避難で飼い主が行っておくべきこと~

2018/08/30

災害時にペットと同行避難するためには、飼い主が準備しておかなくてはならない事があります。その準備を怠ったために、飼い主自身が安心して避難生活を送れない状況に陥ってしまった事例が多く報告されています。これはペットを飼う飼い主の責任として、普段の生活の中でも必要な内容ですので、この機会にぜひ始めてみましょう。

飼い主が行っておくべきこととは

災害時にかけがえのない家族であるペットを守るために、飼い主が行っておくべきことをまとめてみましょう。


① 十分なしつけ
災害時の避難行動や、避難先での生活はペットにとって不安だらけの環境です。飼い主の声を聴いて行動できる。呼び戻しが出来る。他人やほかのペット動物と仲良くできる。ケージなどで落ち着いて待っていられる等、特に社会化に関して十分なトレーニングが必要です。
また飼い主側も日頃のトレーニングを行いながら、慌てずにペットと行動する練習を行っておきましょう。飼い主の不安はペットに伝わります。災害時でも冷静に対応することで、ペットも安心して飼い主と一緒に避難行動が出来ます。しつけに関する問題は、同行避難が普及しない大きな原因ともなっています。


② ペットの状態を把握する
ペットの健康状態を把握しておくことは、災害時でなくとも飼い主の重要な役目です。
アレルギーや健康状態など、体質に関する情報。既往症や接種ワクチンの内容、現在使っている薬など医療的な情報。嫌いな音や臭い、飼い主以外の人間や動物への反応など、性格に関する情報。これらの情報を飼い主はしっかりと把握しておく必要があります。特に飲み続けている薬がある場合、種類や分量まで把握しておくと理想的です。避難先では検査や処方が出来ない、動物用の薬は体重に合わせて錠剤を切る・粉砕するなど、見た目では判断できないなどの理由から、獣医師がいても判断できず、避難生活中の健康管理が難しくなってしまいます。災害に備え、これらの情報は健康手帳などにまとめておくと便利です。


③ 定期的なケア(グルーミング・予防医療)
定期的にグルーミングを行っておくことで、抜け毛や臭い等 衛生面での対策を行っておきましょう。グルーミングは生活環境を衛生的に保つだけでなく、他人に触れられる、家以外の場所の環境に慣れるなど、社会性を広げる場としても有効です。日常的に必要なブラッシングは、飼い主さんも行えるようにしておきましょう。長い毛は目立ちますので掃除しやすいですが、短毛種の毛は目立たない上に衣類などに刺さって取れにくい、飛散しやすいなど、閉鎖された環境ではかえって始末が悪い場合があります。湿ったタオルやラバーブラシなどでの手入れをできるようにしておきましょう。
ワクチンやノミダニ駆除などの予防医療は確実に行っておきましょう。
災害後には環境の悪化やストレスによる体力低下などで、感染症や外部寄生虫による健康被害が増える場合があります。また、多くの被災者や被災ペット、支援者が行き来する施設です。咬傷事故などがあった場合、相手方の命に係わる事態ともなりかねないため、しっかりと予防しておくことが必要です。


④ 移動用のグッズ
災害現場は平たんで安全な移動ルートは保証されません。ペット動物の数や大きさに合わせた移動手段が必要となります。自動車やペットカートでの移動も、瓦礫や土砂の中を進むことは不可能です。多くの場合徒歩で、ペットを背負って移動することが理想となりますが、ペットのサイズや頭数によっては難しい状況も想定されます。対策としてペットの足を保護する靴、タイヤの大きなキャリーカートなど、各自の状況に合わせたグッズが必要となります。移動時等にはぐれないよう、首輪・ハーネス・リードは必須となります。


⑤ 防災備蓄品
避難生活で必要な水やフード、ペットシーツやゴミ袋などを『防災備蓄品』として、家の安全な場所にまとめておくと便利です。また避難行動で負担にならない程度の量を、リュックなどにまとめ、持ち出しやすい場所に置いておくことも有効です。
しかしいざ発災という時には、携帯電話とお財布以外持ち出せなかったという事例が多いのも事実です。そのため家の構造上安全な場所であり、災害時に外から取り出せる場所に備蓄を行っておくことが必要です。災害の種類にもよりますが、まずは命を守るための避難行動をとり、あとから必要なものを取りに来るという想定・準備を行う事が実践的です。

まとめ

避難所でペットの受入れを認めてもらえず、倒壊しかけている自宅や車中での避難生活を余儀なくされた。他人に吠えてしまうため、避難所内での管理が出来なくなったなど、飼い主が自助を行っていないために共助・公助を受けられなかった事例が多く存在します。公には『ペット動物』の命を守るための災害対策はありません。飼い主が安全に避難するための対策として、ペット動物に配慮しましょうという位置づけのため、ペットの命を守る行為に強制力はないのです。

そのため飼い主の自助対策、特にしつけが十分にできていないペットは、避難所以外のペット一時預かり施設などでも受け入れを拒まれる要因となっています。
逆にいざという時でも愛想が良く、落ち着いて行動ができ、聞き分けの良い子は、多くの方に好意を持たれ、災害時でも支援を受けることが出来ています。

ペットと同伴できる避難所は、ペットの癒し効果で不安が和らぎ、安心して避難生活を送れたとの意見もあります。飼い主は日頃からしっかりとした自助対策を講じ、いざという時でも一緒に支援を受けられる家族として育てておきたいものです。


株式会社ジーパウ 代表取締役社長/動物福祉活動家/防災士
成田 司

臨床獣医師が監修したメディカル品質のホームケア製品 パラソルヘルスケア

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