特集

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宮川 智子(みやかわ ともこ)
クリップ生活研究所(株)代表取締役
「教育・医療・保険・家族」など生活意識やライフスタイルに関する調査・研究、コンサルティング業務を中心に、マーケッターとしての広い視点でペット業界を捉えるペット業界のマーケティングリサーチの第一人者。 著書に『図解でわかる 1兆円市場 ペットビジネスのすべて』など。 |
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生田目 康道(なまため やすみち)
(株)JPR代表取締役
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ペット産業が迎えつつある変化
JPR代表 生田目康道(以下生田目):いきなりですが、ペットビジネスと呼ばれる産業が、このところ大きな変化を迎えつつあると考えています。宮川先生はいかがお考えですか?
クリップ生活研究所代表 宮川智子(以下宮川):そうですね。ペットビジネスというものはどちらかというとコミュニティビジネス(地域に根ざした商売)だったと考えています。それが、ここ数年、その枠では収まらなくなってきました。ペットビジネスは現在2兆円規模にまで成長していますが、それは日本の社会の構造に伴って起きた変化でありブームだと考えています。
日本人の生き方や暮らし方の成熟化、そして少子高齢社会になってきた。それがペットとの関係構造にも大きな影響を与えていると思います。
室外飼いに変わって室内飼いが増え、コンパニオンアニマルという概念もここ数年で定着しました。アンケート調査の結果からは小型の室内犬の増加とペットブームと言われる現象は連動していることが読み取れます。
各種サービスへのニーズの変化
宮川:ペット関連の統計調査を見てみても、フード・用品は頭打ち傾向、個人のライフスタイルを表現するようなペットグッズとかサービス領域が伸びています。もちろん、実質的にはペットビジネス総体のなかでフードはトップです。サービス分野の伸長が目覚しいといったことで話題になっています。ペットをめぐる生活を豊かにするために、今までペットに関係のなかった異業種企業の参入が目立っています。
生田目: その中で、企業はどのような動きを見せはじめているとお考えですか?
宮川:2000年から2001年にかけて、それは私共が「ペットビジネスのすべて」を上梓した時期なんですが、ペットの存在がそのまま人の生活シーンを豊かにするキーワードになっていると気付いた生活関連業界、特に住宅、自動車、観光など生活ジャンルのあらゆる業界が「ペット」という開発キーワードに着目し、事業化を図ってきた時期でした。 それによって、今まで専業だったフード分野にも異業種が参入するなど、人間の食べ物と同じぐらいに品質にこだわって良質なものを提供するようになってきました。
生田目:まさにその時期は、私もペットビジネスサポートの一環としてインターネットビジネスを行っていましたが、ペットを切り口にしたポータルサイトなどもこの時期から一気に増えたと感じています。
宮川:ペットビジネスは2000年を境に大きく変わったと思います。それはペットとの共生生活という考え方が1つのキーワードになって、あらゆる業界・異業種にまで広がっていったからだと思います。
社会的な位置付けも踏まえたこれからのペット産業
生田目:これからのペット産業は社会の中でどうあるべきか、という観点では、具体的にはどのようにお考えですが?
宮川:社会構造そのものに「with PET」という概念が成立しつつある以上、飼い主さんが求めているサービスを的確に提供していくことでしょうね。またペットとの共生生活を豊かにする提案型のビジネスにも期待しています。 私は特にヘルスケアの分野に注目しています。 飼い主さんとペットが身近に過ごす時間は増えて、自分の子供のように健康を気にするようになりました。結果、人でいう家庭医のようなサービスの需要が求められています。
もちろんペットの長寿化も関係してきます。ペットが家族の一員として認知され、一緒に暮らしていく社会構造の中では、ペットに対するライフケア・ヘルスケアサービスが、ビジネスマーケットとしての将来性だけでなく、ペット業界そのものの社会性の確立に寄与すると思いますね。
ペット保険も非常に将来性のあるジャンルだと思います。法律をはじめクリアすべき諸問題もあって人と同じようになるのは難しいかもしれませんが、ペットに関する保険は間違いなく今後伸びていくと思います。
生田目:そうですよね。獣医師という立場から見ていて感じるのは、ペットクリニックの分野、これは今後「高度専門家」と「総合化」の二極化していくだろうなと思っています。 高度医療に特化し、日本でもその病院でしか行えない手術がある病院ですとか、逆にあらゆる初診を受け付けて、症状に応じて必要であれば高度医療に対応した専門の病院を紹介するといったですね。ペットクリニックは、最終的にはそのどちらかを選ぶようになると思います。それはきっと人もペットも同じ、ということですね。
ペット業界に足りないもの
生田目:最後になりますが、ペット産業が他業種と比較してみて、積極的に変えていかなくてはならない部分はどこだと感じていらっしゃいますか。
宮川:ペットビジネスのサービス分野は、飼い主さんのニーズに対応するためにサービス提供したものが成長して専門職種になったビジネスがありますよね。 ペットホテルとかペットシッターのようなペット預かりビジネスなどは、獣医師のようなきちんとした資格ではないので、提供するサービスの質は飼い主さんには分からない。業界としては、しっかりとした育成が必要ですね。携わる方々の職能としての自立もなかなか難しいようです。信頼のできるサービスの品質はまだ未整備な業界です。それがペット業界の現状ではないでしょうか。
生田目:それは、私どものようなペットビジネス支援を行う者の使命でもありますよね。労働条件1つにしても、まずビジネスとしての収益性があって、業種として発展してはじめて改善させるわけですから。今後、そういった面でもいい循環を生み出せる環境作りを目指して行きたいと思っています。
宮川:期待しています。


