ペット産業・市場ニュース » 特集記事一覧 » 特集:動物取扱業のあるべき姿・未来とは?

特集

全国ペット小売業協会の活動を米山会長に聞く
米山 由男(よねやま よしお)

全国ペット小売業協会会長
有限会社ヨネヤマプランテイション 代表取締役社長

園芸・造園業の老舗店から近年はガーデンショップ(ザ・ガーデン)とペットショップ経営(ペットエコ)を展開。
全国ペット小売業協会の設立(平成13年4月)に尽力、現在同協会の2代目会長職を務める。

全国ペット小売業協会(ZPK)ホームページ
http://www.pet-kouri.jp/index.html

ヨネヤマプランテイション ホームページ
http://www.yoneyama-pt.co.jp/

生田目 康道(なまため やすみち)
(株)JPR代表取締役

日本大学 獣医学科卒業。 
獣医師・中小企業診断士の両眼で、ペットビジネスをトータルサポートする。動物病院経営事業の実績に基づいた、新規参入・新規事業コンサルティング動物病院/動物医療分野ビジネスサポート市場調査・マーケティングリサーチペット関連商品/サービスの営業支援を行う。

動物取扱業界全体のレベルアップを目指して

JPR代表 生田目康道(以下生田目):「ペット小売業の社会的地位の向上」、「ペット業従業者の教育等の事業」、「動物愛護精神の更なる啓発による人とペットの共生が可能な社会環境の構築」を目指して、同協会を設立され6年度が経過したわけですが、これまで行なってこられた活動についてお聞きしたいと思います。

全国ペット小売業協会 米山会長(以下米山):全国ペット小売業協会は、動物取扱業者を対象として発足した全国組織です。我々は、動物取扱業界全体のレベルアップを図るための様々な活動をしています。会員向けの活動だけでなく、行政や他の関連団体との連携も大切にしています。小売業として、川下からも規範を示していくことが大切だと常に考えています。

協会の活動を広く知っていただくために去年、会報紙を創刊しました。初年度は2回発行しましたが、今年度から3回発行にする予定です。本当は、年4回位は発行したいんですけどね。会報は、会員だけでなく、環境省などの関係省庁や、業界の各団体にも配布しています。

改正動物愛護管理法への取り組み

生田目: 昨年6月に施行された改正動物愛護管理法へ取り組みはどのようになさったのでしょうか?

米山:協会員からは1人の違反者も出さない、これをミッションとして改正法が施行される前からいろんな取り組みを進めてきました。法律を理解し、遵守していく為の業務マニュアル「ペット小売店のための動物愛護管理ガイドライン」、「動物販売業のための顧客説明マニュアル」、購入者への説明義務のある事前説明項目や確認書が付記されている「わんわんにゃんにゃん母子手帳」やハムスター、爬虫類など種別に対応した「動物販売時説明書・確認書」などをいち早く作成・発行し、会員だけでなく会員以外にも頒布しています。関連団体にもお送りしています。それから、業界団体などとの連携も強め各地で講習会も開きました。行政からおりてくるのを待つのではなく、我々が自ら理解を深めて率先して法律を遵守していく、そんな流れが必要だと考えたからです。

今回の一番の改正ポイントである、動物取扱業者の登録制度は、小売業が業務面でもコスト面でも一番影響を受けることになるのですが、多少痛みを伴っても、自ら襟を正して、使命感をもってやるべしと賛成、推進しましたし、又、その普及についても協会内だけでなく、たとえばブリーダー業界などに動物取扱業全体の問題として一緒に改善していこうと呼びかけています。

また施行後には6000名からのアンケートを環境省と共同で行いました。今後もアンケート調査は引き続き実施していきたいと考えています。

行政との連携・人材教育が生み出すもの

生田目:会報を拝見したのですが、環境大臣からのコメントや業界内外の他団体との連携の様子から非常に幅広い繋がりを持たれているように思います。

米山:協会としての様々な取り組みを評価いただき、会報誌で環境大臣に寄稿いただくまでになったと考えています。行政との連携という点で言えば、各省が発行している啓発パンレットなどの配布活動にも協力しています。最近では狂犬病の問題で農水・厚生・環境の3省と合同で勉強会も行いました。その中で、生体の原産国と輸入国が不一致の場合の懸念を提言させてもらう場面もありました。

それから、我々の目的の大きな柱に人材育成があります。動物を取り扱う現場のスタッフの職業人としての資質向上が重要だと考えています。協会では、命ある動物を販売するために必要な職業倫理と広範な知識を持つ「プロの動物販売員」を養成するために「家庭動物販売士認定制度」を設けています。おかげさまで、第4回まで認定試験を開催し、資格取得者は2400名になりました。現在は3級のみですが、2級検定が実施できるよう今まさに準備を重ねているところです。
この資格制度を作るとき、協会内だけで作れば本当は楽だったのかもしれません。でもそれじゃやっぱりいけない。透明性・中立性を保たなければならない。そこで、動物愛護団体や消費者団体、大学教授などの有識者で構成される認定委員会を設置しました。権限も委員会に委任しています。

生き残りのキーワードは「質」

生田目:協会の今後の活動の中心的課題と、それがペット産業・市場でどのような役割を果たすことになるのかをお聞かせください。

米山:動物愛護管理法が改正されたことは、大変意味のあることだと思います。しかし、業界に携わるすべての人間が節度ある業をおこなっていれば、そもそも法律はいらないわけです。つまり、法律以前に、命ある動物を扱う業としてどう自ら襟を正せるか、が大事だということです。命あるものを扱う以上、儲け至上主義は業界にひずみをもたらす可能性が高くなります。そういう意味でも、これからの小売業界は「質」が生き残りの鍵になるでしょう。お客様は確実に変化しています。そしてお客様の評価は「質」に向けられている。それに業界も対応していかなければならないと考えています。 ただペットの数を増やせば、その分売れるという時代は終わったということでしょう。やるべきことをちゃんとやって、お客さんが評価してくれるところだけしか残れない、そんな淘汰の時代に入ったわけです。

協会としても生体を販売する上での倫理的なものを大切にしています。例えば「2003ペット小売業宣言」では、生体の通信販売と移動販売は行なわないことを宣言しています。重要な情報や説明が不足しがちな販売方法や人間が目視して健康状態が確認できない販売方法は、苦情やトラブルに繋がることが多く、協会としては規制すべきと考えています。多少コストが上がっても、手間暇がかかっても、法律に則った、また法律以前に節度ある姿勢で、お客様の信頼を得て正しい業としてやっていくべきですからね。そのためには小売業だけではなく、製造業、卸業、ブリーダー、トリミング、ペットシッター、ペットホテルなど、すべての業界の方にも広く仲間になっていただき、共に取り組むことが必要ですから、小売業以外の関係者にも協会へご入会いただきたいと思っています。これからは会員はもとより会員以外に向けた広報活動もより活発に充実させていきたいです。

協会の理事は20名で、全国津々浦々にちらばっていますが、月1回理事会を開催しています。北海道や九州から来ていただくのはたいへんですが、理事は使命感を持って業界の発展に貢献するため取り組んでいただいており、とても感謝しております。

飼育頭数は本当に増加し続けているのか?

生田目:最後に、ペット産業・業界人へ向けた提言をいただきたいと思います。

米山:巷ではペットの飼育数が年々増加しているようにいわれていますが、私は実感としてそれはどうかなと思っています。頭数という意味では、すでにピークに近いのではないでしょうか。すでに成熟しつつある、そういう状況だと思います。
ペット業界でのビジネスには、時代認識が重要だと思います。これまでのような増加率は見込めない時代に入ってきたのではないでしょうか。その上で時代にあったビジネスをおこなうことが重要になると思っています。
これからはサービス分野も広がっていく可能性があります。今後、消費者の目はより高い専門性、より高い品質・サービスに向けられると思います。そう考えるとやはり「質の高さ」がこれからのペット業界のキーワードとなるのではないでしょうか。時代に合わせ、お客様の変化に合わせて展開していくペットビジネスこそが生き残っていける時代、是非ZPKに入会し、我々と共に質の高いペット関連ビジネスを提供していただきたいと思います。

お忙しい中、ありがとうございました。

◎改正動物愛護管理法についての解説記事はこちら
http://news.jprpet.com/member/20070501/20070508.shtml

◎ 東京都動物愛護管理推進計画についての記事はこちら
http://news.jprpet.com/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000036

◎ その他、改正動物愛護管理法関連記事はこちら
http://news.jprpet.com/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000136
http://news.jprpet.com/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000207
http://news.jprpet.com/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000267

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