
ペットフード工業会 高原会長に聞く
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高原 利雄(たかはら としお)
ペットフード工業会 会長 略歴: 2003年5月、ペットフード工業会会長に就任。
ペットフード工業会 ホームページ http://www.jppfma.org/index.html ユニ・チャームペットケア株式会社 ホームページ http://www.uc-petcare.co.jp/index.html |
日本大学 獣医学科卒業。
獣医師・中小企業診断士の両眼で、ペットビジネスをトータルサポートする。動物病院経営事業の実績に基づいた、新規参入・新規事業コンサルティング
動物病院/動物医療分野ビジネスサポート・市場調査・マーケティングリサーチ
ペット関連商品/サービスの営業支援を行う。
株式会社JPR 出版 ペット産業・市場概論2007
JPR代表 生田目康道(以下生田目):ペットフード工業会は、1969年設立のペット業界の中でも伝統のある業界団体であり、日本でペットフードを生産・販売する会社の集まりであると知られていますが、ペットフード工業会の組織や活動など、どのような活動をされている団体なのかをまずご説明願います。
ペットフード工業会 高原会長(以下高原会長):ペットフード工業会は、1969年10月に設立されてすでに38年が経ち、現在39期目に入っております。国内でペットフードを製造、販売する企業で構成されている任意団体で、正会員41社、賛助会員23社、合計64社で構成されており、日本のペットフードの国内流通量(80万トン、約2500億円)の約90%以上をカバーしています。今、ペットフードは、輸入が55%、国産が45%で、最近は国産製品が増加しています。
ペットフード工業会の活動の目的は、「安全で安心できるペットフードを安定的に供給することで、ペット飼育者の信頼に応え、ペット飼育による国民の心のゆとりと、情緒の健全化に資すること」としており、具体的事業活動として、「ペットフードの安全性の確保(自主基準の作成と推進)」「ペットフードの製造技術・品質の向上」「ペットの正しい飼育の啓蒙と情報発信」を3つの柱に、7つの委員会「技術・安全委員会」、「自主基準推進委員会」、「流通問題委員会」、「PR委員会」、「組織強化委員会」、「危機管理委員会」、「輸出入対策委員会」を設置しています。現在、理事・監事を出していただいている11社(理事)・2社(監事)からは、延べ100人を超えるビジネスの最前線で活躍している担当者に参加いただいているのが特徴ですね。諸問題の検討や実行に活躍してもらっています。
具体的な活動の内容は第39期の事業計画の骨子をご覧頂ければと思いますが、組織活動の強化としては、ペットフード工業会活動の効果を一層高め、会員、業界への貢献を更に促進する為、公益社団法人格の取得を考えています。それから今期は、現会員の中から正会員への活動を拡大することや、非会員に対する加入拡大活動を行うこと、それからペットフード公正取引協議会と役割を明確にした上での連携の強化を図り、業務の効率化を進めることに重点を置いています。
ペットフード工業会 第39期の事業計画の骨子
- 安全なペットフードの製造に関する実施基準」の推進
- 「添加物の表示」の推進
- 組織を強化し、公益社団法人格取得を具体的に推進する
- 全国犬・猫飼育率調査及びペットフード産業実態調査と結果の公表
- ペット栄養管理士要請講習会、認定試験の実施
| 関連団体 | 「ペットフード公正取引協議会」(表示に関する規約の徹底) |
| 行政関連 | 農林水産省生産局畜産部畜産振興課需給対策室 農林水産省消費・安全局 畜水産安全管理課 農林水産省 消費・安全局 動物衛生課 環境省自然環境局動物愛護管理室
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生田目:今年はじめ、問題ある中国産原料を使ったペットフードにより、北米で大量のペットフードリコールが発生し、その余波で日本でも影響がでましたが、ペットフードの安全性について、工業会ではどのようにお考えで、その対応はどうされようとしているのかお話願います。
高原会長:国内で流通するペットフードの55%が海外から輸入され、国内生産の原材料も多くは輸入されています。国内環境のみならず、おっしゃるように世界の事件や変化に大きく影響されるようになりました。ペットフード工業会としては、安全で飼養者が安心して与えられペットフードの安定的供給を継続できるよう、情報の収集や提供と共に、業界団体としての課題解決に真剣に取り組んでいる最中です。
具体的には、まず、ペットフードの品質・安全性の向上推進と啓蒙が必要ということで、去年4月に2年かけて「安全なペットフードの製造に関する実施基準」を作成し、会員内への実施を推進しております。しかし、国内のすべてのペットフード製造者が全て会員ではないわけで、非会員に対してもどうにかこれを浸透させることはできないかと日本語版のみならず英語版・中国語版まで作り、会員会社をとおして国内はもとより、海外生産工場へも徹底を図り、製造における安全性の確保に努めております。
国内で流通するペットフードの安全性を更に高めるため、製造基準だけでなく中身に対する責任と正しい表示が一致することが必要ですから、ペットフードの表示に添加物表示を義務付けることとし、ペットフード公正取引協議会の規約に盛り込みました。又、消費者にわかりやすくする為に、添加物の表示を統一する為の「ペットフードの表示のための添加物便覧」を作成し、会員に配布しています。
ペットフードは世界各国で製造されていますから、「ペットフードの表示のための添加物便覧」は、アメリカ(AAFFCO)、ヨーロッパ(FEDIAF)、それから日本(食品衛生法、飼料安全法)をベースにしました。これも2年かけて作り上げ、この5月にできたものですが、公正取引委員会の正式なガイドラインの1つとして、今年の6月20日官報に告示されて、平成20年の12月には施行となります。施行されれば添加物の表示がきっちりとされるわけです。消費者が適正な選択ができる、そのための取り組みを工業会として行う、これが最も大切だと思っています。この取り組みを日本の消費者団体さん達にご説明したら、「人間の食品でも添加物表示の基準がなかなか作られていないのに、ペットフードは進んでいる」と大変驚かれ高い評価を頂きました。
基準作りはプロジェクトですが、工業会としては常日頃、海外技術情報の積極的入手による会員への情報提供、関連行政からの指導、通知の徹底等、安全性のみならず、製品品質向上に向けて取り組んでいることは言うまでもありません。また並行して、ペットフードの利用者である飼い主さんに向けても、ホームページの活用、イベント等への積極的な参加活動を通して、総合栄養食、適切な給餌等の啓蒙及び、製品理解向上活動も展開しています
生田目:ペットフード工業会では、毎年「犬・猫飼育率全国調査」、「ペットフード産業実態調査」を実施されていて、ペットに関する基本的数値情報として、ありがたく皆で利用させていただいていますが、ここ数年ペットフードの売上げは横這いを示しています。これは何故ですか?ペットの数が頭打ちでこれ以上増えないのではとも言われていますが、ペットフードのビジネスの今後の見通しや業界での新しい取り組みなどあったらお話願います。
高原会長:2006年度で犬が1209万頭、猫は1246万頭飼われていますが、1996年から2006年までの10年間で犬猫合わせて688万頭も増えてきたのですが、これからもリタイヤする団塊世代の飼育意識が高いことやペット飼育可のマンションが増加(首都圏では新築の80%以上)している要因から見て、飼育頭数や飼育率は減ることはないと思います。
一方で、ペットフードは、ペットフードを食べるペット(特に犬)の小型化の進展や室内飼育、高齢化による必要カロリーの伸び悩みで、ペットフードの消費量があまり増えず、販売量が横這いとなっていると分析されています。しかし、ペットフードの利用率は80%と年々上がってきていて、ペットの飼育にとってペットフードの重要性はますます高まっていますね。
ペットフードのニーズも、必要栄養量の確保、美味しさ、高級感の追及の時代から、今は健康で長生きできる食生活へと視点が明らかに変化してきた。長生きのためのフード、ライフステージ、犬種、疾患の状態別フード等、きめの細かい種類が要望されてきています。又、ヒトの食事と同様安全性に対する意識も非常に高く、添加物、オーガニック、GMO等素材に対する要請も高く、サプリメントへの興味も高い。ペットの健康に貢献するとともに、飼育者が満足できるフードをいかにメーカーとして提供できるかがビジネス的にも切実になっていますね。メーカー各社の今後の取り組みが期待されます。
しかし、ヒトの食品並みの安全性の確保、ヒトとは全然異なる生理をもつペットの栄養素、又、種類、状態により変化することへの対応、一緒に食事する楽しさの追及、食材の確保(魚、肉類、トウモロコシ、小麦、米等)製造及び包装材料等の環境への対応、グローバル化から来る諸問題への対応等、業界に課せられている課題は多岐にわたっており、1メーカーや民間団体だけでは対応できない問題もあります。消費者の皆様のご理解を得ながら、関連行政等とも協力して問題解決し、よりよいペットフードの提供を実現していかなければならないと思っています。
業界としての新しい取り組みとしては、工業会のメンバー各社の商品パッケージに「狂犬 病の予防接種の呼びかけるPR」を印刷し記載してもらった取り組みがあり、これは業界 ならではの取り組みとして、社会貢献活動として好評でしたので、続けて行きたいと考え ています。
生田目:ペット産業・市場は今や、1兆円を超える産業に成長しましたが、このペット産業・市場をどう捉えていらっしゃいますか?また、この分野はどうなっていくとお考えですか?
高原会長:ペット、特に犬・猫の飼育率や頭数が減る要因を見つけることの方が難しく、方向性としては増加傾向だと思います。家族の一員としてのコンパニオンアニマル化傾向は更に浸透していきます。その結果、ペットへの健康意識が更に高まることから、食品、用品のみならず、医療、保険、飼育に必要な知識教育等周辺ビジネスはますます、ヒト並みになるでしょう。ヒトと同様と考えると、ゆりかごから墓場までペットの一生を助けるビジネスは、分野によってはまだまだ未成熟なものもありますので開拓の余地は充分ある。そすれば、ペット産業・市場は、様々な分野で成長が見込まれると思います。
生田目:最後に、新規参入も多い分野ですが、新規参入される方や既存の業界人に対して、ビジネスでの成功に向けたアドバイス的な提言をお伺いしたいと思います。
高原会長:ペットは「もの」ではなく、人間と共生する「命あるもの」と考えて参入してほしい。この考え方を間違えるとこの分野では排除されるし、業界へのダメージにも繋がってしまうので、フィロソフィーを固め、きちんとわきまえた上での業界参入をして欲しいですね。
あと、ビジネスの組立ては「自分達に何ができるのか?」をしっかり見つめたビジョンを持ってやって欲しいと思います。ブローカー的なつまみ食いのような取り組みではなく、データに基づく、ニーズにあった商品・サービスは何か、と突き詰めて取り組めば、必ず答えは見つかり、やがては成功すると思いますよ。そしてその信念を持ち続けることが大事なことだと思います。



