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ペット産業・市場概論 商品流通・販売機構編2010

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ペット産業・市場ニュース » 特集記事一覧 » 特集:ペット保険は今後どう変わるか?

特集

少額短期保険協会の沖理事長に聞く

ペット保険は数十社・団体により様々な保険商品として運営・営業を行っていましたが、 平成17年に保険業法が改正されたことにより、ペット保険がベースとしていた法的 根拠のないいわゆる無認可共済事業での運営が不可能となり、許認可が伴う保険会社 での事業か、もしくは新たに設けられた少額短期保険業として登録申請承認を金融庁 (窓口は地方財務局)より取得することが必要となりました。経過措置として平成20年3月末までは、特定保険業として届け出た既存のペット保険の会社・団体はそのまま営業を続けることが可能ですが、それ以降は営業が認められません。

現時点で、その経過措置期間切れが半年と迫っており、ペット保険の現状と今後がど うなるのか、少額短期保険の制度と現状をもっとも良く知るNPO法人少額短期保険 協会の沖理事長にJPR社社長生田目がインタビューを行いました。

沖 雅博(おき まさひろ)
      

NPO法人少額短期保険協会 理事長    
元ソニー生命保険株式会社副社長
日本アクチュアリー会正会員・参与

少額短期保険協会は、今般の保険業法改正による少額短期保険の創設にともない、消費者保護を目的として、理事長の沖雅博他、保険会社出身者が中心となり、内閣府の認証により設立したNPO法人。消費者からの相談窓口ともに、少額短期保険にかかわらず保険関係業者からの相談に会員会社とともに応じている。

生田目 康道(なまため やすみち)
(株)JPR代表取締役

日本大学 獣医学科卒業。 
獣医師・中小企業診断士の両眼で、ペットビジネスをトータルサポートする。

 

JPR代表 生田目康道(以下生田目):ペットの飼育環境の充実が実現されていく今の過程の中で、多くのペットオーナーがペット保険というサービスに加入しています。また、今まさに加入を検討されているというペットオーナーがまだまだ多くいるのも現実です。しかし、ペットオーナーからはペット保険の新制度が知らされておらず、ペット産業の業界人ですら、金融的な部分がよくわかっていません。政府により保険業法の改正が昨年行われ、今までいわゆる無認可共済として運用されてきたペット保険が、今まで通りの運用・運営がどうもできないらしいと聞いているのですが、一体制度的に、具体的に何がどう変わって、どうなるのか?ペット保険の加入者にどのような影響がでるのか?ぜひ知りたいと思いまして、実際今度の新制度での保険、少額短期保険の制度や許認可にかかわっていらっしゃる協会があるということで、NPO法人少額短期保険協会の沖理事長に詳しくお話をお伺いに参りました。

最初にお伺いします、もともとペット保険は共済保険ということでしたが、どうしてこれがダメで、何に新しく制度が変わるのでしょうか?

沖理事長:まず、共済事業とは協同組合等が保険のしくみを使って行う保障事業というもので、法律の根拠のある事業と、法律の根拠のない事業とが存在しておりました。法律に基づき認可を受けている代表的なものとして、皆さんもよくご存知の消費生活協同組合法に基づく県民共済、農業協同組合法に基づくJA共済などがあります。一方、法律の根拠なく保険の引受けを行っていた共済は、国をはじめ都道府県などの公的な認可を受けずに営業・運営している共済ということになります。今までのペット保険は、ほとんどがこれに該当する無認可の共済保険でした。

無認可共済が全て悪いというわけではないのですが、主に二つのポイントから大きな問題が顕在する懸念があり、保険業法の保険業に含め、規制の対象とすることで保険契約者の保護を図る必要から、保険業法が変更されたものです。まず、一点目が共済の運営事業体の財務状況が不健全であるものが存在すること。二点目が保険契約の内容が保険契約者等の保護に欠ける恐れのあるもの等コンプライアンスの徹底が行われていないことです。

順に説明をしていきますと、共済事業や保険事業はその契約に基づいて、事故が発生した際に的確に共済金や保険金が保険金受取人に支払われなければなりませんが、そのためには本来事業体には常に支払能力があることが求められるわけです。又、支払能力があることを、公開して、消費者に示していることが必要になります。ですから、普通、保険会社は、経営の健全性を確保するため「保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率」として、ソルベンシー・マージン比率や会社の財務諸表についても公開をしており、金融庁も一般消費者である契約者を保護するために管理・監督しており必要な対応を迅速かつ適切に行ってゆくことで、保険会社の経営の早期是正を促すなど、監督官庁として直に指導等を行うわけです。しかし、無認可共済では、公開義務が無く、支払能力も判らないし、金融庁も管理・監督ができないでいました。

次に、コンプライアンス(法令順守)の面では、共済保険も金融商品の一種になるのに、一般消費者には分かりにくい表現が使用されていたり、マルチまがいの加入募集も横行していました。金融サービスですから、商品の内容は正確に伝える必要がありますし、意図的ではなくとも、誤った情報を伝えたり、印象だけで加入を募ることはまずいことです。生命保険や損害保険の場合には、保険営業を行う人は試験により知識があることを確認され、募集人として登録され、法律に基づいて募集業務、いわゆる営業を行っております。 しかし、無認可共済の場合は、商品内容や営業方法について、監視や管理・監督する役所も機関もありませんし、募集に関しての制限もありませんので、一般消費者の保護がほとんど行われていない状況といえました。

事実、トラブルも多くあり、必ずしもペット共済保険に特定される訳ではないのですが、マルチ商法的な商品の勧誘、不適切なパンフレットの使用、保険の引受会社を不明瞭にした募集などが行われていました。又、保険の専門家と言うとおこがましいのですが、少なくとも長年この仕事に携わってきた私からすると、無認可共済の保険商品は商品設計の仕方が不明瞭であり、そのとおりに保険金の支払いを行うとオーバー・ペイメント(保険料に対して保障の過剰)に陥り、長期的な営業を行うことが出来ないような商品も多く、やがては問題を引き起すのではないかと危惧しておりました。そこで、無認可共済ではなく、内容が公開されている、監視や管理・監督された正式な業としての内閣総理大臣の登録事業としての保険でやってもらうことになったのが、今回の保険業法の改正の趣旨です。

生田目:法改正の意図や意味は解りましたが、それでは、無認可共済から内閣総理大臣の登録へ至る具体的な手続きはどのようなものとなっているのでしょうか?実際に、登録されたところはあるのでしょうか?

沖理事長:保険業法の改正は昨年、平成18年4月から施行されましたが、無認可共済をいきなり中止にすると、今までの契約者の保護を行うことが出来ないことより、移行期間として2年間(来年、平成20年3月末まで)の経過措置期間が設けられました。この期間の間に、通常の保険会社として免許を取得するか、新たに設立されたカテゴリーの少額短期保険業者として登録するか、又はいっそ廃業するか、決めて準備を行なう必要があります。但し、廃業する場合にも、既存の契約について契約者へのサービスの保全をすることが求められているので、当局の廃業の承認が必要とハードルは高く、廃業できずにその契約期間のサービスを提供する責任が残ります。

無認可共済が引き続き、2年間の経過措置期間中に営業を行う場合には、特定保険業者として、平成18年9月末までに届出を行うことが義務付けられました。特定保険業者への届出を行った無認可共済の団体は389団体であり、ペット保険もこの中に数社含まれています。

生田目:今、ペット保険をやっている特定保険業者は、それでは来年3月末までに正式に少額短期保険業者になることを目指していると考えていいわけですね。では、少額短期保険業者とはどのようなものでしょうか?

沖理事長:無認可共済の中には、保険会社では取扱うのが難しいユニークな商品や割安の掛け金で補償(保障)を受けることの出来る商品などが存在しておりました。そのような商品自体は、サービスを受ける消費者にはメリットがあるのですが、取扱っている会社が正式な保険会社を目指すにはあまりにもハードルが高すぎました。そこでその保険商品の持つ内容、通常の保険に比べて、補償(保障)金額が少額であり、補償(保障)期間が短期である等保険事業規模に合致した、文字通り「少額短期保険」という新しいカテゴリーが設定されたのです。ペット保険のように、消費者の新しいニーズに合わせた保険商品が可能であり、しかも無認可共済の時には顧みられなかった、業としての市場監視や、財務局による管理・監督・指導、そして肝心の消費者の保護につながるという、保険契約者等の信任を確保するためのより良い制度になっています。

生田目:登録状況の現状はどんな様子でしょうか?具体的には、どこがどうなるのでしょうか?

沖理事長:少額短期保険業者として、登録申請の窓口である財務局の審査の中身なんですが、簡単に説明してしまいますと、まず、保険商品について、「事業方法書・約款(商品概要書)」、発生率の資料や保険料率の設定など設計根拠を明確にした「保険料および責任準備金算出方法書(数理概要書)」などを提出しなければなりません。また、会社の財務諸表の内容や20%(場合により15%)以上の主要株主についても適格性の審査がおこなわれます。事業計画書に基づき、営業方法や体制も予め届け出る必要があります。保険の営業を行う人は少額短期保険の試験に合格して募集人登録を行う必要があります。つまり、保険会社とほぼ同じような基準がすべて求められるわけです。昨年9月末までに、特定保険業の届出を行った無認可共済は389団体ありますが、その中、既に半数が事業継続を断念したとも言われています。

一年半かかって、少額短期保険業者として承認された会社は、現在のところまだ4社のみに留まっています。その内、ペット保険の会社としては、「ペット&ファミリー少額短期保険株式会社」(東京都文京区本郷3丁34番3号 代表取締役:野川亮輔 登録番号:関東財務局(少額短期保険)第2号 平成19年4月よりペット保険の営業開始 http://www.petfamilyins.co.jp/ )が1社承認登録されました。尚、登録が進まない申請者側の課題としては、@ 株主の出資能力・少ない資本額、A 経営者の資質・保険経験者の人材不足、B ガバナンス・コンプライアンス対応、C 事業計画上の採算の見通し(主にシステム整備)、などがあると言われています。あと、少額短期保険のカテゴリーではなく、通常の保険会社として、アリアンツ火災海上保険会社http://www.allianz.co.jp/index.html が認可取得し、ペット保険を販売しております。

一方、少額短期保険業者になるためには、保険会社のような認可制でなく簡易な登録制ですが、登録が承認されるためには、保険会社の認可制と変わらぬチェックを受ける厳しい中身となっており、登録制といいながら限りなく認可に近い実態となっているところに登録が進まない行政側の問題もあります。まだ、多くが登録申請の審査中の状態ですが、来年の3月末に経過措置期間が終了になるのですが、それまでに少なくとも20社、多くて60社の少額短期保険業者が誕生するのではと言われていますが、上述しましたようなことで、詳しい状況は見えてきていません。

生田目:特定保険業者が来年3月末までに、少額短期保険業者の登録申請の承認が取得できなかった場合ペット保険とその会社はどうなるのでしょうか?その際、既にそのペット保険に加入している既契約者の扱いはどうなりますか?

沖理事長:特定保険業者が来年3月末までに、少額短期保険業者の登録申請の承認が取得できなかった場合には、来年4月以降は、新規加入営業と既存契約者の更新もできなくなります。来年3月末(特定保険業の廃止を命じられた場合や、保険会社の免許・少額短期保険業者の登録を拒否された場合には、当該行政処分の日)から更に1年を経過する日までの間に、他の保険会社または少額短期保険業者に保険契約の移転等を行う必要があります。しかし、例え新規加入営業を中止し、会社が赤字であろうともサービスを止めることは、加入者保護の観点から許されていません。これに違反すると、その会社だけでなく、経営者や場合によっては主要株主も厳しく処罰されることになります。もし、速やかに止められるとしたら、その事業・サービスを引き継いでもらえる引取り先の会社が見つかり、サービスがそのままその会社に移管された場合となるでしょう。従って、少額短期保険業者になれなかった多くが、事業継続を断念せざるをえず、事業譲渡先や包括移転先を探すこととなりますが、引き受ける側が義務でないとすると容易ではないと想像されます。そう言う事態を考えると、経過措置期間の残り1年を切っても、正式に登録申請の承認が取得できない、目処もたたないとした状況で、新規加入営業していること自体やそれに協力しているインターネットサイトなどもあるそうですが、無理がありすぎると思います。又、保険契約の包括移転には、責任準備金算出の基礎が同一など、当局の承認が必要とハードルが極めて高いなど、消費者のリスクがカバーされなくなる共済難民の発生が懸念されております。そうならないよう、既契約者への対応に万全を期して頂きたいと思います。

生田目:保険業の専門家としてペット保険は今後どのように進んでいくと思われますか?

沖理事長:少額短期保険業者はその名のとおり、補償(保障)金額や補償(保障)期間に制限がありますが、逆にペット保険に必要とされる保険金額や契約期間を考えますと、少額短期保険はペット保険には適している内容です。しかし、商品設計を行う場合には病気の発生確率などの膨大なデータによる科学的な根拠が必要になり、オーバー・ペイメントに陥ることのない保険料の設定や財務体質強化を図る必要があるのは言うまでもありません。従って、少額短期保険業者として、登録申請を財務局の審査をクリアし承認されたのであるならば、そのペット保険は商品設計・財務体質からオーバー・ペイメントに陥る危険性が少なく、保険契約者にとっては安心して加入できる保険であると断言できます。一方、少額短期保険業者になれなかったところは、それに問題があった業者・保険商品・サービスだったとも言えます。

今回の保険業法改正と経過措置期間は、その間一時的な混乱はあろうとも、ペット保険という分野にとっては洗礼を一度は受けねければならない機会だったと位置付けられます。昔のことになりますが、ペット保険は大手損害保険会社から一時期販売されていたことがありましたが、それは死亡保障に重点がおかれていたこと、当時のペットに関する飼い主意識の成熟度の問題などで、すぐに撤退してしまった経緯もあります。しかし、日本より先行する欧米の状況に鑑みると最近の日本でのペットに関する飼い主の意識変化から言っても、ペット保険の社会的ニーズがより高まっていると思われますので、正式な誰もが認める業としてのペット保険によるサービスの提供と定着化は、必ずやペット保険市場の今後の適正な発展に資するものと期待しています。

生田目:保険業法の改正によって、まだ混乱は多少発生するでしょうが、ペット保険へのニーズの高まる中、飼い主さんがより安心して加入できるペット保険サービスになることは、ペット業界にとっては良いことであると思います。最後に、貴協会としてはどのような活動を今後進められるのでしょうか?

沖理事長: 当協会は一般消費者が保護されない、無認可共済の形ではなく、一定の基準をみたし、監督官庁が存在し、ルールに沿った経営を行う少額短期保険業者をサポートいくことにより消費者の役に立ちたいと考えております。無認可共済を運営している団体が営業を継続するために少額短期保険業者になるための圧力団体のような活動を行いたいとは思っておりません。

少額短期保険業の健全な発展と信頼の維持および契約者保護を前提とした国民生活の安定と向上に資することが当協会の目的であり、少額短期保険が消費者の方に安心して受け入れてもらえるように、少額短期保険とそのサービス提供・運営会社を市場発展的にサポートしていくよう、今後も協会運営していきたいと思っております。又、ペット業界の方にも、少額短期保険に関する、制度の詳細説明や登録済業者名の掲示などの情報は、協会HPで情報公開しておりますので、相談・問い合わせなど含め是非ご活用頂きたいと存じます。

お忙しい中、ありがとうございました。
NPO法人少額短期保険協会の概要

名称 : 特定非営利活動法人少額短期保険協会 http://www.asmic.or.jp/index.html
認証日 : 2006年8月4日(内閣府) 設立日 : 2006年8月10日
理事長 : 沖雅博
住所 : 〒160-0004 東京都新宿区四谷2-4-5 久保ビル7F      
TEL:03-5367-5933 
FAX:03-5360-7918
e-mail:info@asmic.co.jp
目的 : 不特定多数の一般市民に対して、少額短期保険に関する相談及び啓蒙広報活動事業を行い少額短期保険の普及をはかり、 あわせて、契約者保護や公正な競争条件の観点から、健全な保険業者育成のために研修等セミナーを実施し、情報提供及び運営支援事業を行い、ひいては、消費者の保護、 多くの国民の生活安定及びわが国の保険業界全体の活性化に寄与することを目的とする。

活動分野:
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.情報化社会の発展を図る活動
4.経済活動の活性化を図る活動
5.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
6.消費者の保護を図る活動
7.前各号の掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

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