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ペット産業・市場概論 商品流通・販売機構編2010

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ペット産業・市場ニュース » 特集記事一覧 » 特集:ペット関連法制度、まだまだ存在する諸問題を浚う!

特集

今やペット関連法制度環境の変化はペットビジネスにも大きな変化をもたらします。関連法制度の遵守は不可欠の事ですが、ペット関連法制度は不変のものごとでは決してありません。ペット産業・市場の拡大発展、成熟化に伴い、古く、実態に合っていないものは、制度化されたり、改正されたりしていくことは当然のことです。ペット関連法制度は、まだまだ制度化・改正されていかなければならないとすれば、それはどういうポイントなのか知っておくことは、将来のビジネストレンドを予測するために必須です。

そのために、今回の特集は、ペットビジネスのコンサルティング会社であるJPR社とペット関連の法制度に詳しい動物法務協議会の代表者とで座談会を行ない、ペット関連法制度にまだまだ存在する諸問題をひと浚する議論を行いました。その内容は、動物愛護管理法から動物医療分野、ペットフードの安全性など多岐に亘っており、連載で順次ご紹介しておりました。今回はその最後の回(4回目)となります。

日時:2007年10月6日(土)16時〜18時
場所:デスカット東京日本ビル店会議室

伊藤  浩(いとう ひろし)

行政書士 伊藤浩行政書士事務所所長 動物法務協議会代表
動物法務協議会の詳細はこちら:
http://animallaw.at.infoseek.co.jp/

伊藤浩行政書士事務所はこちら:
http://www.itoh-office.jp/

井田竜馬(いだ りょうま)

行政書士 井田竜馬行政書士事務所所長 動物法務協議会関西支部長
井田竜馬行政書士事務所こちら:
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ryoma/

生田目康道(なまため やすみち)

株式会社JPR代表取締役社長

服部憲一 (はっとり けんいち)

株式会社JPR取締役

その4 ペット関連事業をめぐる法制度と諸問題

■ペットフードに関する法規制の問題について

生田目:有害化学物質が混入した中国産原料で作られたアメリカ・カナダのメーカーのペットフードを食べた犬がアメリカで数多く死んだ事件が起き、世界的なリコールに発展しました。もちろん、日本でもそのフードが輸入されていて、気が付いた農水省から警告が業界になされ、輸入者や販売者で製品回収が行われました。実を言うと、ペットフードに関する法律は日本にはないのですが、官民の連絡網で警告がなされ、回収に動いけたことは、すごくよかったことではないかと評価しています。しかも、これをきっかけとして、法制化に動き出したわけで、官民での検討会を経て、具体的に法案が作られ、ものすごいスピードで成立しようとしています。

伊藤:もともと、ペットフード工業会が中心となって、自主的ガイドラインでやってきてたものですが、その元になっていると思われるのが飼料に関する法律と思われます。まあ、ペットフードの原料を見てみると飼料とあまり差がないのも事実であるといえますし、それで危機的な問題はでていなかった。しかし、ペットフードの原産国が製品でも50%を超えていますし、原料に到っては80%以上が海外ですから、海外相手に問題があるなら、国の制度としてやらないと安全は守れないです。

井田:法的な規制がない状況でも成分は明示する必要があると思うのですが、人の食事については生産地の標記や賞味期限について、この数年、特に厳しく問われています。ペットの世界に目を向けても、毎日食べるペットフードに対して関心を持たれる飼い主さんも増え、表記や内容、安全性などについて高い関心と要求が高まっているのは当然の流れだと思います。しかし、ペットに関する衛生、飼育や薬品については規定があるのに対して、ペットフードに関する規定がまったくない状況は異常ともいえました。

服部:トレーサビリティが制度して作られることは、大変いいことだと思います。被害拡大を防ぐことが必要ですし、どこに問題があったのか、責任を明確化することは重要です。特に輸入物は、大手商社が輸入しているならまだいいのですが、個人業者が輸入して販売しているとなると、どこでだれが何を売ってしまっているかまったく分からない。それが、英語でもない外国語のラベルだと、中身がまったくわからないものを時々みかけます。

成分表示は、消費者にとってわかるようになっていることは当然だと思います。しかし、明確な内容を表示義務付けるだけでは偽装しかねないので、それを防ぐ意味でも、業と商品を登録させることは、それをまた守らせる効果につながります。

生田目:ペットフードについてよくアドバイスを求められる獣医師にとっても、「処方食を出している企業は一般のフードも適切なものを出している」という推測に基づいての紹介にならざるをえないですが、正直中身が本当かと聞かれたら、信用するしかないと答えるしかないのが実情でした。ペットフードの安全管理基準が法制化され、国の制度としてペットフードの安全確保が機能していてくれれば、食事療法で処方する際、やはり動物医療からも安心ですね。

服部:ただ、法規制の内容を厳格に守って行くには、大手メーカーや商社はできるのでしょうけど、国内の中小メーカーや外国での生産委託で国内に持ち込んでくる輸入業者には、相当な影響がでるのではと予想されます。法律が施行されて、だんだんペットフードの商品数が減少するなんてことにならなきゃいいのですが、安全は確保されても競争が阻害されると、大手資本の商品に寡占され、消費者がバリエーションのない高いフードばかりを買わざるをえないような事態になることは避けてほしいですね。

■ペット葬儀・霊園について

生田目:ペットの火葬業は、規定する法律がなく、現在の法律に照らすと一般廃棄物処理業にあたるということになり、ペットの火葬業を行うには一般廃棄物処理業の届出が必要になると思うのですが、他に何か許可など必要になりますか。

伊藤:火葬を行う際の炉には大気汚染防止法や悪臭防止法に基づく設備の設定が必要で、各自治体毎に規制があって、届け出て許可を取る必要があります。移動火葬車で行う場合、営業先のエリアでことごとくそれをクリアしておく必要があります。

服部:「化製場等に関する法律」において死亡家畜に関する規定があるので、その法の改正を行い、犬や猫などのペットの火葬などを行う際にもこの化製場の設立の届出が必要な形で運営を行うのはどうでしょうか?

伊藤:化製場はもともと二次利用するのが目的であり、少し意味合いが変わると思いますが、新法を作ることに比べれば、その方法もありかもしれないですけど、現状を考えれば、各地自体で条例を設置し、それに基づき運営を行うのが現状では最適と思います。要綱を作成し、事業を行う際に届出を行い、周辺住民との事前協議を行うことを義務付けている自治体も増えてきております。

生田目:ペットであっても火葬の設備等の設置は周辺の住民との事前協議は不可欠だと思います。車での移動による火葬はどうなのでしょうか?

伊藤:現状は、車両に関する届出を行っているだけだと思われます。そのため、現状はやった者勝ちといえます。しかし、今後は車庫などでの大気防止法や悪臭防止法に基づく確認は必要であると思います。

井田:火葬に関しては利用者から相談を受けることもありますが、火葬後、骨が残らなかったというケースも何件か受けたことがあります。業者からお骨を拾えるとの説明があり、またそれを希望して依頼したにもかかわらず、業者側の火力や時間の設定ミスで全て灰になってしまい大きなショックを受けられた、というものです。飼い主さんにとってはショックの追い打ちです。対応や料金面でのトラブルもあると思います。

服部: 法的な整備がなされていないために、さまざまなトラブルが存在しておりますが、ニーズが高く業としても面白いのではないでしょうか?ペットの霊園についてはどうでしょうか?

井田:業としてもニーズは高いと思います。条例レベルで規制をかける自治体も出てき、ペット霊園を始める際には近隣の方と事前協議を行うことなどを定めているところもあります。まだまだペット専用霊園のところが多いですが、寺院などでも副葬品という扱いで飼い主さんと共に埋葬可としているところも少しずつ増えてきているようです。ただ、これは「心」の問題であり、宗教的感情が大きく左右しますのでどこででもとはいかないでしょうが、望む人が今以上に増えてくれば、人と一緒にといったことも選択肢の一つとして普通になっている日が来るかもしれません。

■共生マンションについて

生田目:新築に関しては都市部でペット可のマンションが増えてきました。マンションの販売や賃貸物件の成約率を上げる為、ペット可もひとつの売りになっているようです。ペットの存在が市民権を得ており、ペットとみれば、毛嫌いする人は少なくいなっていると思いますが、マンションでのペットトラブルの現状はどうなっているのでしょうか?

伊藤:マンションでのペット飼育の問題ですが、以前は多くが、飼ってはいけないのに飼っている人が問題となっていました。しかし、現在では基本的に飼育が認められていることより、マナーについての問題が大きくなっています。また、ペット飼育不可のマンションだったのに、社会の流れで飼育可になり、迷惑に感じているということもあります。他にも仲介業者が飼育不可のマンションであるのに飼育可であると伝えた為に起きた問題もあり、少なくとも今後は、マンション仲介で重要事項説明書の中にペットの飼育についての条項を入れるべきだと思います。

服部:不可なのに、いつのまにかペットを飼ってしまっている既存マンションでは、ペットを棄てろともいえないし、飼い主にマンションから出て行けともいえず、しょうがないので、マンション管理組合で管理規約を改正し、飼ってしまったペットに限り認める、但し、ペットのマンションでの飼い方のルールを具体的に定めて厳守させる、ということで解決を図っているようですね。落としどころは、これしかないのですが、この解決に向かわず、いがみあったままのマンションも多いと聞きます。その場合、マンション管理会社でもこの問題にさわるのが怖くて手が出せず、逃げ回っているという話を聞いたことがあります。

井田:マンションの管理会社がこの問題についても本気で取り組む必要があるのでしょうが、多くの企業がまだまだ本気で考えていないようにも思います。そのため、潜在的な不満は相当に多くの人が持っていると思われます。隣の犬の鳴き声や糞やおしっこの問題などはよく聞きます。解決していくためには住民側も管理会社に頼りきりになるのではなく、管理組合でペットクラブを作って自ら飼育についての一定のガイドラインを作成して、実際にガイドラインに基づいて飼育されているかどうかを確認したりみんなでいっしょに勉強していくなど、管理会社を巻き込むような積極的な姿勢も必要だと思います。

伊藤:マナーの悪い飼い主は、自分のマンションでの問題だけでなく、一時が万事外へ出ればどこでも引き起こす存在です。マンションなどに関わらず、ペットの飼育については条例を設置し、飼い主への罰則規定も設ける必要があると思います。現状はマナーが悪くても罰せられる事がないので、罰則規定は必要になると思います。ですから、不動産会社やマンション管理会社はどこも、マナーの悪い飼い主を作らない、はびこらせないよう、ペット共生マンションを作り、管理運営していただきたいと思います。

■おわりに

服部:ペットをめぐる法的問題とは、ペットに関しこれだけ幅広い分野があるだけ、いろいろとあるのだということが、議論していて実感しました。他にも言い出せば、細かいものがまだまだあるのだと思うのですが、一般の方がペット関連の法律って言われて、わからないのは無理ないと思います。ペット専門でやっている業界の方でも、知らない方が多いです。また同じペットでも分野が違えば当然知り様も無い。あと最近、面白いなと思ったのは、ペットに関する法律は、与党も野党も反対しないので、ねじれ国会でも通りやすいということです。ペット共生社会の実現のためにはプラスになっています。

伊藤:図らずもこの業界に係わるようになってペット特有の問題が多くあることにおもしろさと難しさを感じます。業者の規制だけに目を向けるのではなく、飼育者のマナー向上のために何ができるかという視点からも考えていきたいと思っています。家族の一員としてペットにとって暮らしやすい社会が如何にあるべきかという視点でこれからも微力ながらお手伝いができればと考えております。本日はいろいろな視点からの話が伺えて私自身も大変参考になりました。

井田:これだけペットの飼育数が増えてくると、ペットに関わる問題はもはや飼育している人だの問題だけでなく、全ての人が何らかの形で関わってくる良くも悪くも「社会問題」としての側面がますます大きくなってきています。一飼い主として、また動物法務に携わる者として実感するのは、ペット問題は人間社会を映す一つの鏡だということです。ペット問題というのは言い換えると関わる「人」の問題です。動物愛護法の改正やペットフード規制法、外来生物法などをはじめとする近年の動物関連法の整備は、それだけ関心を持つ人が増えている事の表れではないでしょうか。法制度を整えていくと同時に、一人でも多くの方に動物と関わる喜びや大変さ、そして楽しみを感じていって頂ければと思います。

生田目:ペットめぐる法制度を様々議論し、改めて考えて見ますと、ペットの法制度とは、ペットに対する法制度ではなくて、ペットを飼っている人とその飼育を補助する商品・サービスを供給する人に対する法制度だということがよくわかりました。一人の飼い主が自分のペットだけを飼っていることで済まされているというのでなく、日本社会のすべての人が日本にいるすべてのペットを全体で飼っているというふうに捉えなくてはいけない。そうでないと、法制度の本来目指している目的が見えなくなってしまう。業界人としても、法制度はペット産業・市場の成熟化には欠かせないものとして理解し、各自が自らも必要な提言をぜひしていくべきだと思いました。

長時間にわたり、様々なテーマで論じていただき、本当にありがとうございました。

【全4回の掲載タイトル】
■その1 改正動物愛護管理法 届出から登録制への実効は?
■その2 改正動物愛護管理法でまだ積み残されている課題とは?
■その3 動物医療分野では法制度にどんな問題があるのか?
■その4 ペット関連事業をめぐる法制度と諸問題

行政書士『無料ペットよろず相談会』を行なっております。

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