DSファーマアニマルヘルス株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:高田 和浩)は、動物用再生医療等製品※1(動物体性幹細胞加工製品※2)である犬(同種※3)脂肪組織由来間葉系幹細胞製品※4「ステムキュア(R)」(開発番号:A-110、以下「本製品」)の製造販売承認を3月19日付けで取得いたしました。なお、犬(同種)脂肪組織由来間葉系幹細胞を主成分とする動物用再生医療等製品の製造販売承認は、本製品が世界初※5です。
DSファーマアニマルヘルス社は、犬の胸腰部椎間板ヘルニアを対象とした臨床試験の成績を基に、2019年6月14日に本製品の製造販売承認申請を行いました。このたび、動物用再生医療等製品の動物体性幹細胞加工製品として、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」第23条の26(条件及び期限付承認※6)に基づき承認されました。
DSファーマアニマルヘルス社WEBサイト
https://animal.ds-pharma.co.jp/
<語句説明>
※1/動物用再生医療等製品
再生医療等製品のうち専ら動物にのみ使用されるものです。
※2/動物体性幹細胞加工製品
「動物の身体の構造または機能の再建、修復または形成」や「動物の疾病の治療または予防」のために動物の細胞に培養その他の加工を施したものが動物細胞加工製品です。その中で、当社の製品は間葉系幹細胞を含有するため、動物体性幹細胞加工製品に分類されます。
※3/同種
同じ種類(犬)のものですが、自己のものではないことを意味します。
※4/間葉系幹細胞
生体の様々な組織に存在し、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、筋細胞などになる能力を持っている細胞です。この細胞には、傷害を受けた組織を修復する機能や、免疫の調節機能(過剰な炎症反応を抑える)などがあることが報告されています。
※5/世界初
犬(同種)脂肪組織由来間葉系幹細胞を主成分とする動物用再生医療等製品として世界初の製造販売承認です。
2021年3月19日現在、DSファーマアニマルヘルス社調べ。
※6/条件及び期限付承認
●承認条件:
・犬の椎間板ヘルニアの診断・治療に対して十分な知識・経験を持つ獣医師の下で、本品の使用が適切と判断される患畜に対して、バイタルサインの確認、臨床検査によるモニタリング等の適切な対応がなされる体制下で本品を使用すること。
・条件及び期限付承認後に改めて行う本製品の製造販売承認申請までの期間中は、有効性及び安全性の評価に十分な数の症例について、製造販売後臨床試験を行うこと。
●承認の期限:7年
犬の椎間板ヘルニアは、外傷や加齢、遺伝的な原因によって椎間板が逸脱して脊髄を圧迫することで発症します。特に、胸腰部のヘルニアでは後肢の麻痺による歩行困難や排泄に支障が出るため、罹患した犬はもとより、犬のご家族のQOL(生活の質)を著しく低下させることもあります。また、病状の重篤度に従い、外科的処置や保存療法が実施されますが、回復が期待できない場合もあり、新たな治療方法の開発が強く望まれてきました。
間葉系幹細胞は、様々な液性因子を分泌することにより、椎間板ヘルニアにより損傷した神経細胞の機能の回復を促すと考えられています。本製品の作用機序としては、トランスフォーミング増殖因子β、プロスタグランジンE2、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ等による抗炎症作用、血管内皮細胞増殖因子による血管新生作用や神経成長因子等を介した神経保護作用が考えられます。
DSファーマアニマルヘルス社は2015年に動物用再生医療等製品の研究に着手し、大日本住友製薬株式会社の医薬品製造に関する技術支援の下、池田動物細胞医薬センター(大阪府池田市)を開設するなど、安全・高品質な動物用再生医療等製品の研究、開発、製造を一貫して実施できる体制を構築してきました。このたびの画期的な新製品の承認取得により、治療が困難とされてきた犬胸腰部椎間板ヘルニア症例における新たな治療選択肢を提供することで、国内における同疾患の症例治療に貢献できるものと期待します。
【製品名】
ステムキュア(R)
【構成細胞】
犬(同種)脂肪組織由来間葉系幹細胞
【含量】
1mL中に2.5×(10の6乗)個
【包装】
1L×1バイアル、2mL×1バイアル
【性能、効能又は効果】
犬胸腰部椎間板ヘルニアに伴う臨床徴候の改善
【用法及び用量】
体重1kg当たり犬間葉系幹細胞として1回0.5~1×(10の6乗)個を日本薬局方ブドウ糖注射液5%で希釈して輸液量を30mLに調整し、ろ過網を有する赤血球用輸血セットを用い0.5mL/分を目安に緩徐に全量を点滴静注する。通常、1週間に1回、投与間隔は5日以上とし、3週間投与する。
【製造販売元】
DSファーマアニマルヘルス株式会社
【製造販売承認日】
2021年3月19日
DSファーマアニマルヘルス株式会社は、動物たちの健康を支えることで、人々の笑顔あふれる暮らしに貢献する企業として、2010年7月に大日本住友製薬株式会社の事業部門から分社化し、設立された研究開発型の動物用医薬品メーカーです。当社は動物薬事業を通じて培った経験と実績を基礎に、人と動物の絆を支える「コンパニオンアニマル事業」、人々の豊かな生活を支える「畜水産事業」、確定診断に必要不可欠な「臨床検査事業」を展開しています。
また、従来、投薬/機能性食品にとどまっていた事業領域を、診察・検査・診断・投薬・アフターケアにわたる獣医師と顧客ニーズの全体(ヘルスケアサイクル)に拡張し、総合的なソリューションを提供する会社への変革を推進しています。
詳細はWEBサイトをご覧ください。
https://animal.ds-pharma.co.jp/